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[日本代表の戦いが終わって2]これからの代表選手達(特に中田英寿)

 日本にとってのワールドカップは終わってしまったが、これ以降気になるのが、一応「活躍した」と思われる選手達の動向である。

 ブラジル戦でワールドクラス級のシュートを決めた玉田には、海外からオファーが来る可能性が高い。ただ・・・あくまで個人的な思いだが、このシュートははっきり言ってまぐれ。だいたい、国内リーグで全然点を取れてないFWが代表に招集されること自体おかしいのだが、ワールドカップ、しかも対ブラジル戦という「大舞台」であのパフォーマンスをしてしまった以上、既に代理人(サッカー選手の移籍の仲介役)が目をつけた公算が大である。海外へ行くかどうか、それは本人の自由だが、正直今の玉田の実力では、鈴木隆行のベルギー移籍の時の二の舞になる危険性大だと感じている。

 その玉田に決定的なスルーパスを出した三都主はどうだろうか。再三サイドをえぐったシーンはあったものの、効果的で精度の高いパスは玉田のゴールの時ぐらいだったので、オファーが来るかどうかはかなり微妙。

 今回、一番クオリティの高いプレーをしていたのは、間違いなくGK川口だと思うが、GKは選手寿命が長いとはいえ、年齢的にこれからの移籍が現実になるかどうかは難しいと思われる。川口自身のモチベーションは下がっていない可能性が高いが、仮に海外「再」挑戦がかなったとしても、川口自身も含めて、ポーツマス移籍以降の「不遇」がまた展開されるという心配は誰しもが持つことだろう。そういう意味でも、これまた移籍の可能性は非常に「微妙」と言わざるを得ない。


 そして・・・一番私が気にしているのは、誰あろう、様々な意味でチームの「中核」だった中田英寿である。彼は自分から「悪者」になることに徹し、事ある毎に代表を批判するという形の「劇薬」を注入して来た。その劇薬を打っていた時点ではどうかわからないが、今回の大会、彼はその「劇薬」が本番で効くことをかなり期待していたのではないだろうか?実際、その期待と現実にあまりの落差があったことについて、彼はブラジル戦後にいつまでも力なくピッチに倒れ込むという、今までの「中田像」からは信じられない態度をもって、暗に嘆いているようにも私には見えた(夕刊を見て知ったのだが、やはりあの場面、中田英は泣いていたらしい。少なくとも対外的には「ドライ」な態度を崩さない彼がそんな行為に至るぐらい、彼自身の中での「傷」は大きかったのではないだろうか)。

 はっきり言って、中田英が「劇薬」を注入し続ける姿は、私などは痛々しくて見ていられなかった。彼がローマ時代のようなワールドクラスの選手だったのならまだよかったが、残念なことに、今の彼にはヨーロッパのトップリーグでやれるだけの力はない。そしてその事は、多分誰よりも中田英本人が自覚していたと思う。それでも、キャリア的にも実績的にも「中核」であることを自覚し、その「中核」の役割を必死でこなしていたのには、本当に見ていて辛いものがあった・・・

 中田英がこれ以降も代表に選ばれるかどうかは、多分時期代表監督が誰になるかによって決まるだろう。ただ、中田英の1ファンとして、もう彼には「無理」して欲しくない、という気持ちがある。それはプレーのみならず、今まで担ってきた「中核」の役割をこれからもこなし続けることについて、「もういいでしょ?」と、言いたくなってしまう理由からだ。

 中田英には気の毒だが、彼の日本代表におけるキャリアは、ここで終わりにした方が、代表と彼自身双方にとっていいのではないのだろうか?もともとジーコは、中田英を前述したような「悪者」に徹して「劇薬」を注入するような行為をすすんでやるくらいの「理想のプロ」として認識していたからこそ、代表に呼び続けたのだ。・・・ただ、これは逆に言うと、もう純粋にプレーだけを見れば、代表レベルではない、という示唆でもある。

 仮に彼が代表に残ったとしても、かなり気になるファクターがひとつ存在する。それは、彼があまりにヨーロッパナイズされた「プロ意識」を振り回した(と他の選手は感じた)ことについて、反感を持っている選手がいるのではないか?という危惧である。「お互いプロ同士だから、それはないだろう」と思われる方もいるかも知れないが、現在の日本代表がほとんど国内選手で構成されており、いい意味でも悪い意味でも「日本的なプロ」である彼らが、ヨーロッパ仕込みの「プロ意識」を振り回されたことについて、表面はともかく、内心で不快に思っている選手がいたとしても、「日本のプロの常識」からすれば、それはあり得ないことではない。


 とにかく、私はブラジル戦後にピッチに倒れ込んだままの中田英に対して、「本当にご苦労様。あなたは日本サッカーを上に導くために、ホントによくやった」と言いたくなった。そしてそれに続けて、本当は言いたくないセリフではあるけど、「ご苦労様。もうあなたの役割は終わったよ。あとは好きにして」と言いたい。正直ホント、彼は「疲れて」しまったのではないだろうか?あれだけ悪役に徹して劇薬を注入し続けたのに、行き着いた結果があんなのだったのだから。彼はジーコが言い続けたように、正しく「理想的なプロ」であったが、彼の両肩に重くのしかかったその重りから、色んな意味で解放してあげたいと、余計なお世話とわかっていながら、そう願わずにはいられない心境である・・・

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