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2015年シーズンの川崎フロンターレに対する 「危惧」と「期待」

 2015年のJ1リーグ開幕(3月7日)直前、3月5日の時点でこの記事をUpしている。

 昨年の川崎フロンターレは、前半は絶好調、後半は絶不調という、見事すぎるくらい対象的な軌跡を描くかの様なシーズンを送ってしまった。その結果、前半戦終了時点では首位と勝点3差の3位という好位置につけていたのに、終わってみたら優勝戦線から早々に脱落しての6位フィニッシュという、前半の貯金で何とか賞金圏内には入れた、という有様だった。


 昨年の、特に後半の大失速について個人的な見解を述べさせてもらうと、

・「フロンターレのサッカーに『対策』をしてきた相手への『対策』が、とうとう最後まで出来なかった」

・「『このサッカーが出来れば、どんな相手でも勝てる』と豪語していた『風間サッカー』に、結局最後まで選手と、誰より監督自身がこだわりすぎてしまった」

…という2点に尽きると思っている。シーズン前半、おそらくは8割以上は完成したと思われる「風間サッカー」で、リーグ全体をかき回すかのような快進撃を演じられはしたが、問題はその後だった。シーズン前半終了時点で3位のチームともなれば、当然どんな相手だって研究し「対策」を立ててくるのが当たり前なのだが、その「『対策』をしてきたサッカー」に対しての「対策」が、とうとう最後まで出来なかった。というより、そもそも「『対策』に対する『対策』」をする事など度外視するかのように、最後まで「自分達のサッカー」(「風間サッカー」)を押し通す事ばかりに目が行っていたように思われる。現実としてどんなに結果が伴わなくなっていったとしても。


 上記の現象をもう少し具体的に言うと、結局「パス『だけ』で崩すサッカー」に、選手も監督も最後までこだわりすぎてしまった、という事になると思う。後半戦で負けた相手のほとんどは、かなりゴール前をガチガチに固めていたチームが多かったように思う。そういう状況(=「対策」)を作られると、当然「パス『だけ』」で崩すのは難しくなる。ケンゴがケガで不在だった時期もそれと重なった事もあり、スルーパスで打開するという局面も極端に減ってしまっていた。正直こういう状況に陥った場合は、素直に「パス『だけ』」という変なこだわりは捨てて、ミドル・ロングレンジのシュートやクロスを織り交ぜる等の、ある意味サッカーでは「当たり前」な戦術に立ち帰れば、状況はもっとマシなものになったと思う。実際将来的な事を考えても、「パス『だけ』」をしてくるチームより、基本のサッカーはそれであっても、時折別の戦術も臨機応変に織り交ぜてくるといったチームの方が、相手にとってはよほど驚異だろう。…だが結局、前述した通り、そうした「『対策』に対する『対策』」が取られる事が全く無いまま、「風間サッカー」にこだわり抜いた結果、散々な状態のままで2014年シーズンを終えることになってしまった。


 来る2015年シーズンにおいて、私が一番危惧する点は、特に風間監督がいまだにこういった「自分のサッカー」をこだわり抜こうとするのではないか、という事である。こういったパスサッカーの原点であるバルセロナですら、リーガやUCLでガチガチに守られた相手に対して、時には敗北を喫する場合すら最近ではままあるのだ。つまり、バルセロナを模倣、あるいはその延長戦上にある様なパスサッカーは、もはや「どんな相手でも通用する」とは断言出来ない状況にある。それでもまだそういった主張をしたいのであれば、パスサッカーを基本として残しつつも、大胆で柔軟な「発展」的要素を加えていくことが「必須」であろう。果たして風間監督は、そういう「発展」的要素を、このオフシーズンにきちんと組み入れる事が出来たのであろうか?

 もし仮にそういった事がうまく運んでいれば、この「危惧」は一転して「大いなる期待」に変わる。前述したような、基本はパスサッカー+状況に応じてスタイルを変える、といったサッカーを体現する事が出来れば、それは現時点において限りなく最強に近いサッカーに成り得る可能性を多分に含んでいるからだ。個人的には、そういった「可能性」にチャレンジするかのようなサッカーを、是非今季のフロンターレで見せてもらいたいものだと思っている。


 末文になるが、最後にもうひとつだけ問題提起を。昨年もそうだったが、毎シーズンフロンターレは、あまりにもケガ人が多すぎる。このへんの対策も、一過性のものではなく、長期的な視点でしっかりとやって欲しい。欧州のビッグクラブのような、医療施設並みの施設や体制を組み込む、なんて事は無理だとしても、それにしてももう少しやりようはあるだろうと、毎年ケガ人に悩まされる度にそう思ってしまう。サッカーそのものの進歩や改善も大事だが、柱である選手本人達がもっとケガに悩まされないで済むような体制作りに対して、もっとチームとして注力して欲しいという「願い」にクギを刺して、この文の締めとさせて頂く。
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