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著作権者(権利者)側は、一体誰を取り締まりたいのか!? - 厳しくすればするほど、そういう行為が助長されるだけではないだろうか!?

 日本は、著作権に関する話となると、非常にうるさい。世界で唯一、公共のテレビ電波(地デジ)にコピープロテクト(ダビング10)がかかっていたり、今年になって、著作権物と知ってダウンロードしたら即違法となる、いわゆる「ダウンロード法」が施行されたりと、窮屈この上ない。だがしかし、こういった「対策」や「取り締まり」的な話は、果たして誰を対象として施行されているのだろうか?ダウンロードまで罪、という範囲まで広げてしまうと、結構なユーザーが引っかかることになるので、そもそもの大元といえる、「違法コンテンツを違法と知った上でアップロードしている」輩について、今回は言及したい。

 そもそも個人的に疑問なのは、こういうことにうるさい著作権者側の人間が、どれくらいPCのことをちゃんと知っているのか?ということである。このへんの著作権者側の人間は、主にYouTubeあたりで、放送されたばかりのテレビ・コンテンツがたくさんアップロードされていること「ぐらいしか」知覚できてないのではないだろうか?そしてそれで、YouTubeにアップすることは「ものすごく簡単で、誰でも出来ること」と、勘違いしてるのではなかろうか??

 単純に、YouTubeにアップするという行為だけでも、それなりのPCスキルが要求される。今や、それくらいのPCスキルを持っている人は少なくはないだろうが、「YouTubeにアップするなんて簡単」と思いこんでる著作権者側の人間などは、おそらくこのハードルすらクリアできないはずだ。少なくとも、普段Webやメールしかしないレベルの人にとって、このハードルはそんなに簡単なものではない。この時点で、こういうことが出来る人間は、おそらくPC人口の約40%程度まで限定できると思う。(日本の「初心者以下」レベルの人間の数を、侮ってはいけない)

 そして更に、放送した直後に、テレビ放送の動画をアップできるほどのスキルを持った人間、となると、更に更に数は限定される。プロテクトがかかっているデジタル放送なら尚更だが、プロテクトのかかってないアナログ放送だとしても、かなりのスキルが要求される事に変わりはない。そのスキルとは、具体的には、テレビ放送をPCで録画出来るだけのスキルや、その録画した動画の編集・処理についてのスキル、そしてそれらをネットに流通させるために適当なファイル形式・サイズにすることが出来るスキルなど、である。ここまでのスキルを持った人間となると、おそらくPC人口の数%、個人的な予測では8%にも届かないのではないか、と思えるくらい、ごく少数の人間に限定されるはずである。

 ・・・そしてここで、その8%まで限定された人間を、別角度で見てみよう。上述のようなスキルを持った人間、となると、それ相応にIQの高い人間であることは間違いない。IQと社会的・倫理的モラルはほぼ比例するものであるから、こういう高いIQの人間達は、少なくとも「違法」だと分かり切っている事を、簡単に行動に移したりしない。「捕まると分かり切っていることを、何故わざわざ自分からやるんだ?」というわけである。・・・まあこの件に関しては、きつすぎる取り締まりの不条理に敢えて対抗する、という、ある意味「思想犯」的な存在も考慮すべきであろうが、それでも半分以上の人間は、「違法行為」をする事自体を、持ち前のモラルから回避するはずである。そういうわけで、数は更に半分以下の、4%にまで限定される。

 そしてまた、社会的に見ると、こういった高IQの人間は、当然ながら社会的にも有用な人間が多いので、年齢にもよるものの、既にそれなりの社会的地位を得ている可能性が高い、という現実がある。そういう人間は、特に日本では、単純に仕事だけでも忙しすぎて、テレビ放送を片っ端からYouTubeにアップ、なんて事をする時間すらない人が大半だろう。仮にそういう時間的余裕があったとしても、おそらくそれ以外の、もっと有用な事に時間を当てる人間がほとんどのはずだ。・・・というわけで、ここまで限定してきた「YouTubeに違法動画をアップしている人間の割合」は、最終的にはPC人口の2%に満たない数まで下がってしまうのである。


 ここまで述べてきたことは、全て著者の個人的推測に過ぎないことではあるが、そんなに的を外しているとは思わない。とにかく、著作権者側がことさら問題にする、YouTubeにたくさんの違法動画がアップされている状況というのは、日本のPC人口の2%に満たない人間がやっていることなのである。それなのに、ほとんど全ての人間が、海賊版的違法行為をしているかのような「ウソ」を声高に叫び、それが自分達(著作権側)の多大な被害になっているという「ウソの更にウソ」まで成立させ、もっともっと規制を厳しくしろと迫る・・・。本当に、こういうやり取りを見聞きするたびに、著作権者どものやり方には、怒りと共に辟易させられる思いである。


   <2010年4月9日、「『デジタル社会の著作権のあり方は? 基本問題小委員会スタート』 - InternetWatch」より>

   -日本芸能実演家団体協議会専務理事の大林丈史氏
   「デジタル時代のコピーは、家庭にお札を印刷できる機械があるのと同じ。ダビング10に関しては、親切な文房具屋の店主が消しゴムを万引きしそうな子どもに対して、10個消しゴムをあげるようなもの」

   -対して、主婦連合会事務局次長の河村真紀子氏
   「お札を作れたとしても、それを使えば違法。ダビング10の件についても事実とは異なる話で、私的複製が海賊版行為のように言われるのは心外」



 今回主題にした「YouTubeに違法動画をアップする」という点から言えば、大林氏は「デジタル時代のコピーは、家庭にお札を印刷できる機械があるのと同じ」と言うように、誰もが簡単にそういうことが出来るとステレオタイプで言っているが、実際にそんなことを実行できる人間は、本当にたった2%にも満たない数でしかない。その2%未満の数を、限りなく100%に近い数にまで錯覚させようと言うのだから、詭弁もここに極まったり、といった感じである。


 とにかく、私がここで言いたかったのは、「ネット上で意図的に著作権的違法行為をしているのは、実はものすごく少数でしかない」ということと、「その極少数を取り締まるために、これ以上多くの一般ユーザーの利便性を奪うようなマネはやめて欲しい」ということである。ダビング10等、プロテクトがきつくなることで、一番不利益を請うのは、普通の一般ユーザーである。実際、孫コピーができないことだけでも、コピーしたDVDやBlu-rayが後でエラーを起こしていたに気づいた、なんてことになっても、対策らしい対策が打てなくなってしまう。なのに著作権者側は、コピーワンスからダビング10にしただけでも、「自分たちにとっての『弊害』」ばかりを主張して、一般ユーザーの「利便性」など、これっぽっちも会議で議論されない。

・・・海外では、とりあえず音楽に限った話ではあるが、ネットでの音楽配信について、プロテクトを敢えて「かけない」のが主流になってきている(AppleのiTunes Storeで、曲にプロテクトが標準でかかっているのは、日本のストアぐらいである)。そういった行為の根底にあるものは、「適切な価格でデジタル・コンテンツを流通させれば、ユーザーが海賊版行為に走ることを抑えることができる」という思想である。・・・日本では、こんな考え自体、議論に乗せられることもない。まさに「著作権的『ガラパゴス』国家」日本の、それが実情だ。・・・・・・こんな狭小で窮屈な国では、前述したような、「敢えて著作権的違法なコンテンツを流出(アップロード)」させる「思想犯」のような存在がいても、ある意味しょうがないのではないだろうか?・・・そう、こういった違法行為は、そういう行為を取り締まろうと極度にきつい規制を敷いている、著作権者側にこそ責任が求められるのではないかとすら、私は思えるのである。(注:あくまで私個人の思考の、個人的結論である)
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